DSS-P(DX推進スキル標準)共通スキルリスト v2.0 (IPA)
DXを推進する人材に求められるスキルを5つのカテゴリー・13のサブカテゴリーで整理した共通スキルリスト
1. ビジネス変革
1.1 戦略の理解とアーキテクチャ設計
| スキル項目 | 内容 | 学習項目例 |
|---|---|---|
| ビジネス環境と経営戦略の理解 | • 事業や変革活動に影響を与える、市場・競合・規制などの組織の外部環境や、経営戦略・方針などの上位方針を読み解くスキル | マクロ環境・社会動向分析、業界構造・競争環境分析、顧客・市場環境理解、リサーチおよびデータ収集・分析のためのテクニック、経営戦略理解、経営層とのコミュニケーション |
| 事業戦略の策定とマネジメント | • 経営や戦略家(スト ラテジスト)と連携し、顧客価値・事業性を踏まえ、事業/プロダクト(製品・サービス)単位の戦略の策定に関与し、関係者に浸透させながら推進すると共に、定期的な有効性評価を通じて必要に応じて更新し続けるスキル | 顧客課題探索と価値仮説設計、事業戦略の立案と見直し、ビジネスモデル設計、事業性の検証と収益モデルの確立、投資配分・資源配分、市場・競合・ポジショニング分析、ブランディング方針とブランドガバナンスの確立、戦略とアーキテクチャの連携、戦略的パートナーシップ |
| 変革テーマ/事業単位の組織成熟度・ケイパビリティの検討 | • 現状の組織能力や成熟度を分析し、変革上の優先課題や変革の難易度を評価するスキル | 組織構造・人材・プロセス・文化の現状把握、変革に必要な組織能力と現状とのギャップ分析、組織成熟度モデルを用いたレベル評価、変革テーマごとの実行難易度・優先度評価、組織課題を踏まえた変革ロードマップ検討 |
| ビジネスとエンタープライズのアーキテクチャ設計 | • 経営戦略・事業戦略を目標体系・ビジネスプロセス・情報・組織・システムへ転換し、全体最適の構造と原則を描くスキル | 経営・事業戦略の構造的な整理と要件化、全体最適を意識したアーキテクチャ原則の定義、ビジネスプロセス・情報・組織・システムの全体構造設計、現行アーキテクチャの理解および問題整理、部分最適を防ぐための構造・依存関係の可視化、実装のた めの活動単位(プログラム/プロダクト)の整理とロードマップの作成 |
| ビジネス価値定義/投資対効果の試算と意思決定支援 | • 変革全体の効果仮説と価値指標を定義し、個々の取組みの投資対効果・優先順位・投資判断の修正を統合的に管理するスキル | 変革全体の価値仮説・効果仮説の設定、事業価値・成果を測る指標(KGI/KPI)の定義、施策・案件ごとの投資対効果評価、投資優先順位付けとポートフォリオ管理、実績モニタリングと投資判断の見直し |
1.2 プロダクトのマネジメント
| スキル項目 | 内容 | 学習項目例 |
|---|---|---|
| 要求の分析とマネジメント | • 個別のプロダクト/プログラムで実現すべき具体的な事項(要求)を整理し、変更を管理しながら実装まで導くスキル | ステークホルダーからの要求の収集・整理、要求の背景・目的・価値の明確化、要求間の関係性・矛盾・制約条件の整理、要求変更の影響分析と管理、要求を実装・成果につなげるための合意形成 |
| プロダクトビジョン/ロードマップ策定 | • プロ ダクトの目的や提供価値、将来的な方向性を明確化し、事業戦略や顧客価値との整合を取りながら、時間軸を意識したロードマップとして整理・更新するスキル | プロダクトの目的・提供価値の明確化、顧客価値と事業戦略を踏まえた将来像設計、中長期視点でのプロダクトロードマップ策定、不確実性を踏まえた計画の見直し・更新、関係者とのビジョン共有と合意形成 |
| プロダクト成果指標の設計と運用 | • プロダクトの成果を適切に測定するための指標を設計し、実績のモニタリングや評価を通じて、改善や次の意思決定に継続的に活用するスキル | プロダクト成果を測る指標の設計、定量・定性指標の使い分け、指標の収集・可視化・モニタリング、指標結果を踏まえた改善判断、指標設計の妥当性見直しと更新 |
| プロダクトスコープと優先順位のマネジメント | • プロダクトで実現する範囲(スコープ)を定義・調整し、制約条件を踏まえながら、要求や施策の優先順位を判断するスキル | プロダクトスコープ(範囲・前提条件)の定義、制約条件(コスト・期間・技術)の整理、要求・施策の優先順位付け、トレードオフ判断と関係者調整、スコープ変更時の影響評価と意思決定 |
| 仮説検証・学習サイクル設計 | • 価値仮説を設定し、検証と学習のサイクルを設計・運用することで、不確実性の高い状況下において意思決定の質を高め、継続的 な改善につなげるスキル | 市場・顧客価値に関する仮説設定、検証方法(実験・検証指標)の設計、学習サイクル(Build–Measure–Learn)の運用、検証結果の解釈と意思決定への反映、学習結果を踏まえた改善・方向転換判断 |
| マーケティング | • 顧客定義と市場ニーズの把握を通じてPMF(Product-Market Fit)を確立し、GTM(Go-To-Market)戦略の設計・実行により、適切な顧客に価値を届けて収益化の仕組みを構築・改善し続けるスキル | 顧客開発、顧客定義(ICP)・課題定義(JTBD)、仮説設計とMVP検証(プロダクト検証)、PMF評価指標・計測設計(継続/解約/VOC)、ベネフィットと差別化、GTM戦略設計(ポジショニング/価格/チャネル/ローンチ)、Webマーケティング、SEO、SNSマーケティング、カスタマーサポート、AI活用マーケティング |
| 技術的制約・アーキテクチャを踏まえたプロダクト判断 | • エンジニアなどのテクノロジーの専門家との対話に必要なソフトウェアや基盤技術(例:クラウドやAPI設計、マイクロサービス等)に関する知見およびソフトウェアの内部構造理解に関するスキル | 基本的なソフトウェア・IT基盤技術の理解、クラウド・API・データ連携の基礎理解、技術選択が事業・プロダクトに与える影響理解、エンジニアとの円滑なコミュニケーション、技術構造を踏まえた意思決定支援 |
1.3 変革活動のマネジメント
| スキル項目 | 内容 | 学習項目例 |
|---|---|---|
| アーキテクチャマネジメント&ガバナンス | • アーキテクチャの状況と変更を継続的に管理すると共に、原則と方針からの逸脱を検知し、是正するスキル | アーキテクチャ原則・方針の理解、現行・将来アーキテクチャの継続的把握、変更管理と影響評価、原則逸脱の検知と是正判断、組織横断でのアーキテクチャ合意形成 |
| プロダクトライフサイクルマネジメント | • プロダクトを企画からリリース、運用と成長、廃止までを一気通貫で管理し、プロダクトの継続価値を最大化するスキル | プロダクト企画から廃止までの全体把握、各フェーズに応じた判断基準の理解、成長・改善・撤退の判断、技術・市場変化を踏まえた見直し、継続的な価値創出のための管理 |
| プログラム/プロジェクトマネジメント | • プロジェクト、もしくはプログラムを、期限・予算・品質の制約下で、計画から実行・監視・終結までを管理し成果を確実に創出するスキル | プロジェクト計画(スコープ・スケジュール・コスト)、実行・進捗・課題・リスク管理、ステークホルダー調整と報告、品質・成果物の管理、プロジェクト終結と振り返り |
| リスク&コンプライアンス | • 変革における法律・契約・セキュリティ・社会規範等に関連するリスクを特定し、社内外の専門家と連携しながら、評価・対策・監視を行うスキル | 法務・契約・規制要件の理解、知的財産権等の権利保護、業務統制と内部統制、ビジネス倫理と社会的責任、情報セキュリティ・情報管理リスクの把握、リスク評価と対策、リスク顕在化・違反発生時の対応・報告および是正、継続的なリスク監視と見直し |
| チェンジマネジメント | • 影響を受ける関係者の変革の受容度を評価し、コミュニケーションや教育、移行設計を駆使して変化の受容と行動変容を実現するスキル | 変革の影響範囲・関係者分析、変革に対する抵抗・受容度の把握、関係者の巻き込みとエンゲージメントの確立、コミュニケーション・教育計画設計、移行計画の立案と定着支援、定着度・受容度の評価とフォローアップ |
| ビジネスモデリングとコラボレーション | • 体験、価値、ビジネスプロセス、ルール、意思決定、データ・情報などの、非視覚的情報も含む概念・情報を構造化・抽象化し、因果関係を整理した上で、さまざまなモデリングテクニックなども活用して視覚的・言語的に説明可能な状態にし、これらを活用して取り組みのあらゆる関係者とのコミュニケーションを円滑に進め、共創関係を構築する スキル | 情報の整理と構造化および因果関係の整理、情報の抽象化とコンテキストの生成、情報や概念を整理するためのフレームワークの適用(ビジネスモデルキャンバス、SWOT 等)、各種のビジネスモデリングテクニック(BPMN、DMN、ArchiMate、UML 等)、発信者の意図を関係者に伝えるための各種のビジュアライズテクニック(図式化、スケッチやイメージ画の生成)、これらをAI活用により生み出すためのテクニック(プロンプティング 等)、これらを使ったコミュニケーションと共創関係の構築 |
| デザインの考え方を用いた組織のマネジメント | • 混沌とした複雑な業務課題に取り組むにあたって、関係者の多様な視点を統合し、新たなアイデアを創出することや、探索的アプローチにより、試行錯誤を通じて改善を重ね、よりよい解決策へブラッシュアップするスキル • バックグラウンドの異なる関係者間の相互理解を促し、横断の共通のビジョン構築を通じて全員を同じベクトルに導くことで、変革を加速するスキル | ビジョンデザイン、ステークホルダーマネジメント、多様性と包摂性の理解、ユーザー中心設計、デザインカルチャー醸成 |
1.4 デザイン
| スキル項目 | 内容 | 学習項目例 |
|---|---|---|
| 顧客・ユーザー/ステークホルダー理解 | • ユーザー調査(顧客満足度・利用データ等の調査やインタビュー等)や市場・競合調査の設計、実施を行うスキル • ユーザー調査の結果から、顧客の期待や不満、新たなニーズや競合、トレンドを把握・分析し、インサイトを導き出すスキル • 経営層・業務部門・外部パートナー等のステークホルダーの期待・制約・関心を確認し、エンゲージメントを図るスキル | インタビュー設計、ワークショップ設計、ユーザー調査(A/Bテスト、カードソーティング、日記調査、フォーカスグループ 等)、市場・競合調査(定量・定性)、調査結果分析、参加型デザイン、ペルソナとジャーニーマップ、ステークホルダーマップ、エンゲージメント計画 |
| 価値発見・定義 | • ステークホルダーをファシリテートしながら、顧客・ユーザーのニーズを基にアイデアを発散させ、バリュープロポジションを定義するスキル | 価値発見におけるフレームワーク(サービスブループリント、アサンプションマトリクス等)、アイデエーションのための手法(ブレインストーミング、KJ法、シナリオ法、ペーパープロタイピング)、バリュープロポジション、製品・サービスの方針(コンセプト)策定 |
| デジタルプロダクト設計 | • 顧客・ユーザーのニーズを踏まえて、必要な機能やコンテンツを明確化するスキル • 顧客・ユーザーにとってのわかりやすさや見つけや すさを考慮して、機能・コンテンツの構造や骨格をデザインするスキル • ユーザーにとって好ましい外観や動的要素(Look&Feel)をデザインするスキル | プロトタイピング、情報設計、コンテンツ設計、アクセシビリティ・ユーザビリティ設計、UI設計(ワイヤーフレーム、モックアップ、オブジェクト指向/タスク指向 等)、デザインシステム(サイズ、フォント、コンポーネント、カラー 等)、人の行動原理や心理学を基にしたデザイン、でき上がった製品・サービスの倫理的観点からのチェック、コミュニケーション設計 |
| 検証(顧客・ユーザー視点) | • 定義したバリュープロポジションを、実装した製品やサービスを通じて実際に顧客が体験できるか、顧客にとって有用な体験になっているかどうかを検証するスキル • 検証から得られた結果を言語化し、次の改善・設計・優先順位付け、意思決定に継続的に反映するスキル | コンセプトテスト、ユーザビリティ評価の計画と実施 |
| クリエイティブディレクション | • ブランドコンセプトと表現方針を策定・統括し、制作調整、表現統一、KPI設計、予算・品質管理まで担う、創造プロセスを統括するスキル | アートディレクション、UXライティング、コピーライト、コンテンツ企画、ブランド方針策定、コミュニケーション方針策定 |
| デザイン制作実務 | • デザインに関する実装業務のスキ ル | グラフィックデザイン、3Dデザイン、イラスト等の制作、編集、映像制作 |
| ファシリテーション(共創設計) | • 共創設計を軸に、多様な関係者を巻き込み仮説を立て迅速に検証し価値へつなぐスキル | ファシリテーション、ワークショップ設計 |
| 体験価値ガバナンス | • プロダクト/サービスが社会において生成・流通する意味と価値を、構造的・継続的に設計・管理・進化させるスキル | ブランドガイドライン策定、デザインシステム構築、継続的改善 |
| デザインプロセスマネジメント | • デザインプロセス(「理解」「ビジョン構想」「コンセプト開発」「仮説検証」)を柔軟に組み合わせて適用し、制約・フィジビリティ・ビジネスゴールなどのバランスを踏まえながら、計画・実行・評価し、価値を創造するスキル | デザインプロセスの理解、リソース管理とフィジビリティ分析、ビジネスゴールの設定と評価、コミュニケーションとチームマネジメント、デザイン原則 |